今年で1259回目を迎える東大寺二月堂のお水取り、私も毎年遠方からの知人の案内で数回は伺います。また2004年にはお水取りの創始者である実忠和尚をテーマに「実忠と3つの不思議な花」というアートプロジェクトを鏡池で行ったこともあり、個人的にも思い入れの深い行事です。今年は2日に福井県小浜市で行われたお水送りの儀式に参加したこともあり、その返礼として小浜市から副市長を始め親善使節団がお越しになりました。若狭から送られた水は地下水脈を伝って10日後に二月堂まで届く、という言い伝えが縁となり、1971年に小浜市とは姉妹都市提携をしています。地下水脈という発想は中東出身とも言われる実忠和尚が、砂漠のカナートから想起したのではないかという説もあります。私たち人類の罪を全て引き受け懺悔する連行衆に、尊敬の念を抱かずには居られません。昨晩は知人とともに改めて深夜の行法を拝見してきました。例年以上に見学者が多く、どの局も入りきれないほど満員でしたが、大きい体を小さくしてなんとか入堂、暗闇の中の厳かな空間を感じることができました。これもまた「地球上に奈良という街があって良かった」と、思える瞬間でした。