11月27日投開票の大阪知事・市長選では、両候補の対立構造が面白おかしく報じられる側面がありますが、本質的には非常に大きな問いが有権者に投げかけられています。大阪市という巨大な政令指定都市を解体するという橋下氏の主張は、単に「敵憎し」という視点だけではなく、従来の「国・都道府県・市区町村」という3層構造を今後も維持し続けるかどうかを問うものです。
基礎自治体である市区町村は、住民生活に最も近い行政として、地域の実情に即したきめ細かなサービスを自らの意思と責任で行う事が求められます。そのためには裏付けとなる財源・権限が必要です。しかし現在の制度では国や都道府県が大きな権限を持ち、地域の自律的発展の妨げとなっている現状があります。あくまでも、現場に近い基礎自治体が出来る限りの役割を果たし、どうしてもやりきれない部分や広域で取り組んだ方が効率の良いものについては、広域自治体である都道府県が担う。さらにそこでも手に負えないもの、例えば外交や為替、社会保障等の運用については国がカバーするという、「補完性の原則」が重要です。
今の二重行政の問題はこの原則に反し、国や都道府県が肥大化した事に要因があります。一方で基礎自治体も巨大化すると経営効率が悪くなるというデータがあります。例えば1人あたりの借金(地方債残高)は、奈良市と同規模の中核市平均では39万円ですが、より大きな政令市では63万円、大阪市では110万円と、規模と借金体質に相関関係が見られます。
いずれにしても、国・地方を含めた抜本的な都市制度の再設計が求められているのではないでしょうか。