市民が主役の奈良市政をめざす仲川げんの活動日記。

仲川げん
2015年5月26日 22:00 [ニュースレター]

ニュースレター Vol.73 「大阪都構想と中核市」

 大阪都構想が僅差で否決となりました。連日の報道やC M合戦で隣町の奈良にもその過熱ぶりが伝わってきまし た。「強引な手法」や「世代間対立」を敗因とする評もありま すが、私は今後につながる重要な議論が投げかけられた と受け止めています。もちろん、具体的な区割りや権限・ 財源の帰属についての完成度は議論の余地がありますが、 市町村で構成する基礎自治体の機能・権限を根本的に見 直そうという大きな問いは、私も中核市長会で長年提起し てきた課題です。現在、日本で最大の基礎自治体である横 浜市は、奈良市の実に10倍に相当する370万人もの人口 を抱えています。奈良市の規模ですら地域ごとに異なる 課題や特性を踏まえた運営は難しい中で、果たして370 万人は妥当な規模と言えるのか。もちろん区を設置する ことはできますが、住民から直接選挙で選ばれた議員や首 長はおらず、市が人事配置した区長を事務的に置く形では、 どこまで地域密着の行政運営ができるのか疑問が残りま す。そういう意味では区割りによって、より住民に身近な行 政を推進しようとする考え自体は理にかなっています。

 今回の住民投票では、「大阪市の解体」というイメージ に住民の不安が集中し、「府・市・区の役割や権限を整理し てより身近な行政をめざす」という部分が十分伝わらな かったように思います。また「区に中核市並みの権限を与 える」とされている部分も、現在我々が渇望している「中核 市に政令市並みの権限を移譲」が実現すれば、結果は違っ たかもしれません。一方、都道府県と市町村の間には「事 務処理特例制度」と呼ばれるものがあります。これは双方 が合意すれば都道府県が持つ権限を市町村に移譲できる 制度で、全国的には権限を手放したくない都道府県が抵 抗する傾向にありますが、大阪に関しては両トップが同じ 考え方ということを踏まえれば、「現行制度でまだやれるこ とはある」とも言えます。

 そんな中、先日中核市長会が開催され、今年度から奈 良市が会長を務めることになりました。中核市は人口30 万人以上の都市自治体で、保健衛生・教育・都市計画等 様々な分野で自立した自治体経営を行うことができる制 度です。県内では奈良市のみがこの権限を有しています が、他の市町村では物事を決める際に県の了解が必要と なるような案件でも、市が独自に意思決定できるというメ リットがあります。現在は45市ですが、地方自治法の改正 によって5年以内に特例市(人口20万人規模・39市)と実 質的に統合することになります。統合後は日本の全人口の 約4分の1をカバーする市長会となりますので、都市制度 の見直し議論を含め具体的な制度提案を実現していきた いと考えています。

http://www.nakagawagen.net/pdf/newsletter_vol73.pdf

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