現東山霊園火葬場は、大正5年(1916年)に開 設され、市民生活に一日たりとも欠かすことの出 来ない施設として、長年重要な役割を担ってきま した。しかし、老朽化が著しく、機能面でも旧式の 炉は一日一回しか使用できないため、対応能力に 大きな問題を抱えています。ちなみに奈良市の 昨年度の年間死亡者数は3,438名です。20年後 には約5,000人に達する見込みとなっており、現 在でもすべての利用希望者に応じられていない 現状を考えると、早期の新斎苑建設が急務です。
一方、市の記録を紐解くと、新斎苑計画は昭和 30年代から何度となく検討されてきた経緯があ ります。前 任 の 藤 原 市 長 時 代にも、横 井 町 山 林 (今回の計画と同じ場所)を候補地として具体的 な計画が掲げられましたが、最終的に現施設の地 元から反対請願が議会に出され、宙に浮いた形と なっていました。このように、歴代市長の懸案事 項として申し送りされてきた新斎苑事業は、もは や待ったなしの状況です。特に旧都祁・月ヶ瀬両 村との合併に伴う、国の有利な財源(事業費57億 円のうち29億円を賄う合併特例債)の活用期限 が平成32年度末と迫っていることもあり、不退転 の覚悟で臨んでいます。
今回、市が掲げる計画は、最新の機能を備える 事で従来の約2倍の対応能力を持つだけでなく、 ご遺体をお預かりしてからお骨上げまでの時間 を大幅に短縮し、一旦ご自宅にお戻り頂く事なく 約1時間でお見送りが完了する形を採っています。 また、施設イメージもガラッと変え、森の中の美 術館やホテルのような落ち着いた空間をイメー ジしており、人を送る場所にふさわしい佇まいを めざしています。一方、昨年12月議会で一部会派 から「コストが大幅に安く、地元も了解を得ている 他の候補地案がある」との発言がありました。公 式な情報提供がありませんので何とも言えませ んが、既に説明を受けた他会派からの話では具体 性はなく、我々としてはこれまで進めてきた現行 計画を着実に実行することに集中したいと思いま す。市民生活の最重要課題が政争の具とならな いよう、しっかりと世論を高める必要があります。