4月16日に起きた熊本地震では千回を超え る余震と共に、季節が梅雨や夏に向かう中で長 期化する避難生活にも心が痛みます。奈良市で は発災直後から九州地方の友好連携都市と情 報交換を行い、17日には庁舎が半壊する被害 が生じた宇土市に向け、飲料水10トンを送るな ど継続的な支援活動を行っています。大規模災 害が発生した場合、通常は被災した市町村から 都道府県等を通じ私たちの下へ支援要請が寄 せられますが、被災直後は中継役となる行政自 身が混乱、もしくは機能不全となる可能性があ ります。特に自治体庁舎の被災は致命的で、物 的なインフラだけでなく支援活動に必要な情報 や職員の命すら失われてしまう恐れがあります。
一方、奈良市においては本庁舎の一部が耐震 性を有していないとの調査結果がこの度判明し ました。この問題は阪神淡路大震災後に実施し た前回の調査でも指摘されていましたが、まず は子どもたちの生活する学校園や緊急時の避 難場所を優先して耐震化に取り組んできました。 7年前の市長就任時に46%であった学校施設の 耐震化が今年度でほぼ完了のめどが立ったこと から、今後は本庁舎に着手したいと考えていた 矢先の熊本地震でした。
市役所本庁舎は中央棟・東棟・西棟・北棟がつ ながった構造で、平成に入り増築された北棟以 外は昭和52年に旧耐震基準で建てられていま す。今回の調査では建物の強度や粘り強さ、形 状やバランス、経年劣化等を総合的に判断した 結果、0.3未満で倒壊の危険性が高いと言われ るIS値が西棟で0.03(基準の10分の1)を示す 等、早急な対応が必要という事が分かりました。 築年数だけで見れば県内でもさらに古い庁舎 もありますが、正庁(中央棟6階)や議場(西棟) のように、天井が高く柱がない独特の構造が特 に地震に弱いと考えられます。耐震化には多額 の予算がかかることから、今後は専門家だけで なく市民の皆さんからも十分意見を伺いながら、 長期的な視点に立ち対応策を早急に検討して 参ります。